服をいたわることは、自分を大切にすること。
ヴィンテージのある暮らしとケアの選び方 〈Witty Vintage〉オーナー 赤嶺玲子さん

服をいたわることは、自分を大切にすること。<br>ヴィンテージのある暮らしとケアの選び方

受け継がれてきたものを大切にし、手をかけながら使い続ける——。

そんなヴィンテージならではの価値観は、フレディ レックが提案する“ケアする洗濯”という理念とも深く響き合うもの。

今回は、東京・祐天寺のヴィンテージショップ「Witty Vintage」オーナーの赤嶺玲子さんに、ヴィンテージの魅力と、洋服をながく楽しむためのケアの工夫について伺いました。

惹かれたのは、ヴィンテージに宿る存在感とストーリー

赤嶺さんがヴィンテージに魅力を感じるようになったのは、セレクトショップで働いていた頃のこと。コーディネートや空間づくりにヴィンテージの小物を取り入れるうちに、その独自の存在感と奥深さに惹かれていったといいます。


「10代の頃から古着屋さんにはよく通っていたんですが、当時は“なんとなく好き”という感覚でした。仕事でヴィンテージの小物に触れるようになってから、改めて『古いものっていいな』と感じるようになったんです。レイアウトするのが楽しくて、そこからどんどんその面白さに惹かれていきましたね。」

その後、異動先のメンズブランドではヴィンテージウェアを本格的に扱うことになり、仕事を通じてより深くその魅力に触れていくことに。

ヴィンテージの魅力にどんどん引き込まれていくなかで、赤嶺さんのプライベートでもヴィンテージとの関わりが深まっていきます。

「もともと夫がバイヤーとして古着の卸をやっていて、アメリカに買い付けに行くたびに、私の私服なんかも一緒に買ってきてくれていたんです。」

そうした日々の延長線上で、「いつか一緒にお店をやりたいね」という会話が自然と生まれ、レディースの仕入れを増やすタイミングでオンラインショップ「Witty Vintage」をスタート。ポップアップ出店が好評だったことを機に、2020年には念願の実店舗をオープンしました。

現在は、1900年代初頭から2000年頃までのアメリカンヴィンテージを中心に、アメカジやミリタリー、ワークウェア、さらにはメゾンブランドまで幅広く取り扱っています。異なるジャンルを自由にミックスしたスタイル提案も、Witty Vintageならではの魅力のひとつです。



日々ヴィンテージと向き合う赤嶺さんに、改めてその魅力についてたずねてみました。

「最初は、“ひとつしかないものを自分が持っている”という所有感に惹かれていました。でも最近は、洋服一つひとつに背景があって、その複雑なストーリーこそが一番の魅力だと思うようになりました。」

時代を越えて受け継がれたモノが持つ、歴史や記憶。
それこそがヴィンテージの奥深さであり、真の価値なのかもしれません。

無理なく続けるために。服と暮らしに合わせたケアの工夫

Witty Vintageでは、仕入れたアイテムすべてに洗濯や漂白、リペア、検品といった工程を丁寧に施し、最適な状態に整えてから店頭に並べています。その手間を惜しまないプロセスこそが、ながい年月を経たヴィンテージの魅力を、現代に引き継ぐために欠かせない要素となっています。



「古着のミリタリーやアメカジ、ワークウェアは、たとえ破れていてもリペアして着ることが多く、そのリペア跡がむしろかっこよさとして受け入れられる。そうした“直して着る”という行為そのものが、魅力や価値としてポジティブに働くカテゴリーの服なんです。多くのメゾンブランドのスラックスやテーラードアイテムには、既製服であっても顧客一人ひとりに完璧に合うことを重視する傾向があります。サイズ直しを前提とした余白が設けられていることが多いので、そういったものを選べば、何年でも受け継いでいくことができます。」

傷や破れも味わいとして受け入れ、手をかけながら受け継いでいく——。
そんな視点で洋服と向き合ってみると、ヴィンテージの楽しみ方がもっと広がる気がします。



オリジナルで展開するシャツ。紫は菖蒲、黄色は菜の花を用い、株式会社シオンテックによる「ボタニカルダイ」の手法で染め上げている

赤嶺さんは、日常生活のなかでヴィンテージとそうでない服とで、ケアの方法を使い分けているといいます。

「ヴィンテージの服は、極力洗わないようにしています。着たらすぐ洗うのではなく、数回着てからやさしく手洗いすることが多いですね。というのも、ヴィンテージの洋服は素材自体がデリケートなものも多くて、洗いすぎると生地が傷んだり、風合いが失われてしまうことがあるんです。だから、真夏に汗をかきそうな日はあまり着ないようにしたり、外出も短時間にとどめるなど、なるべく洗濯の頻度を減らすようにしています。たとえばTシャツなら、1回着た後ににおいをチェックして畳んで保管します。2〜3回着てからまとめて洗うようにしています。」

においが気になるときは消臭スプレーを使ったり、汚れが気になれば部分洗いをしたりと、コンディションに応じてケア方法を柔軟に選んでいるそうです。



一方、ヴィンテージ以外の洋服については、日常的に洗濯するスタイル。そこにも赤嶺さんならではのこだわりがあります。

「柔軟剤は使わないようにしています。いつも外干しなので、タオルは少しゴワゴワしがちなんですが(笑)。本当は陰干しがいいとわかっていても、全部は難しいので…。タオルだけはドラム式洗濯機の乾燥機能を使ったり、部屋干しの時は除湿機の風を当てたりしています。」

服の種類や素材、着用シーンに合わせて、無理なく、自分に合った方法でケアを続けていく。そんな赤嶺さんの姿勢からは、ながく心地よく服と付き合っていくための、等身大のヒントが見えてきます。

忙しい日々でもノンストレス。メイクウォッシュミストで叶える、手軽なケア

古着にはどんな汚れがついているのか分からないことも多く、シミやダメージへの対応が難しい。一方で、日常生活でついた汚れは、食べこぼしやメイク、汗など原因が想像しやすいため、ケアの方法も選びやすくなります。

とはいえ、特に落ちにくいのが、ファンデーションや口紅、日焼け止めなどの油分や顔料を含んだメイク汚れ。赤嶺さん自身も、これまで「ケアが難しい」と感じていたそうです。


フレディ レックの「メイクウォッシュミスト」は、そんなメイク汚れに予洗いなしで対応できる、部分用の洗濯ミスト。スプレーしてそのまま洗濯機に入れるだけで、忙しい日々でも無理なく使えるアイテムです。

「これまでは、汚れた部分をハンドソープで濡らして予洗いしていたんですが、これはスプレーして洗濯機に入れるだけなので、手間がかなり省けて驚きました。白いTシャツの襟元って黒ずみやすいけど、これを吹きかけておけば予防にもなると思います。」

もみ洗いやつけ置きの必要がなく、型崩れの心配も少ない。デリケートな素材を守りながら、やさしくケアできるのも嬉しいポイントです。



「時間がないなかで、気づいたら汚れてた…ってことは日常茶飯事ですよね。だから、この手軽さは本当に助かります。忙しいママさんや、働き盛りの女性にこそ使ってほしいです。」

お気に入りの服を、自宅で、手軽にケアできるということ。それは、服とながく付き合っていくための第一歩。日々のなかで少しずつ丁寧な選択を重ねていくことが、結果的に自分や暮らしを大切にすることにもつながっていきます。

環境へのやさしさは、できることから

Witty Vintageでは、環境への配慮も日々の運営に自然と取り入れられています。

「お店の電気は再生可能エネルギーを使用したり、お客様にはマイバッグの持参をお願いしています。オンライン発送には、富山の企業と一緒に開発した、バイオマス85%のさとうきび由来の袋を使用しています。」


evolver mailer」として、さとうきびの搾りかすを原料に使用し、バイオマス度85%以上を実現。環境にやさしい発送資材として、オンライン注文時に使用中。

また、古着の洗浄には基本的に生分解性の洗剤を使用。ただし、どうしても落ちない汚れには化学的な洗剤も取り入れ、なるべく良い状態で商品を届けられるよう工夫しています。

「すべて自然由来にこだわるより、捨てずに活かすことの方が大事だと思っていて。きれいな状態で受け取ってもらえる方が、お客様にとっても嬉しいはずなので。」

柔軟剤を使用しないのも、香りの好みに個人差があるという考えから。こうした選択の一つひとつにも、「無理なく、できることから」という赤嶺さんのスタンスが表れています。

「電気も、一度変えてしまえばその後は何もしなくていいんです。バイオの袋も、作るまでは大変でしたが、完成してしまえば日々やることは変わらない。それくらいの気持ちでいいと思っています。」

最後に、服をながく大切に着ることについて、赤嶺さんにこんな言葉をいただきました。

「服をながく着ることが偉いっていうわけじゃないと思っています。でも、ものを大事にする気持ちが、自分のことを大切にすることや、周りへのやさしさにつながっていくような気がしています。」

日々の洗濯やケアを通して育まれる「ものを大切にする心」。
それは、服だけでなく、私たち自身の生き方や人との関係にも、そっとやさしさを運んでくれるのかもしれません。

ヴィンテージと向き合う赤嶺さんの姿勢から、ものを大切にすることの意味、そして日々の暮らしのヒントをそっと教えていただきました。

 

photo:Mai Tanaka
text:Yukari Fujii


関連商品